こんにちは!
陽徳不動産の田邊です。
弊社では不動産と相続に関連する記事を紙面にして不定期で発行しています。
今回は第17回目になります。以下に記事の内容を掲載せて頂きます。
日頃はいつもお世話になっております。
ようやく9月も過ぎて秋らしくなってきた頃でしょうか?秋といえば食欲の秋、
読書の秋睡眠の秋と何かと過ごし易く良い季節になってきましたね。さて今回の
ようとく通信は、120年ぶりに民法改正、40年ぶりに相続法が改正されます。
不動産オーナー様であれば、民法(または相続法)どちらも関係してくるところだと思います。
民法改正の点で賃貸不動産オーナー様と直接、関係してくるのは目立ったところでは、
連帯保証人に関する保証債務のところであります。
今まで連帯保証人は、保証契約を貸主と締結すれば、借主が万一賃料を何百万円でも
滞納してしまえば連帯保証人は、貸主から滞納金額を際限なく請求できていましたが、
改正後は個人保障に関しては限度額(極度額)が定められることになります。
限度額の定めのない連帯保証契約は無効となります。改正後は連帯保証人との連帯保証契約を
貸主との間で締結しその際に連帯保証人の極度額として幾らを定めるのかを明確にしなければ
連帯保証契約は無効になってしまいます。
その極度額は、賃貸人の立場であれば多く確保したいという考えになりますが、極度額が高額過ぎる
場合は、保証人になること自体を拒否するケースもあるため、連帯保証人の個人保証が付かない
ケースも見込まれるため、保証会社の利用が多くなることも予想されます。
続いて相続法の改正点で行くとこちらも40年ぶりという事でいくつも改正点がありますが
今回は①『相続の効力等に関する見直し』と②『預貯金の仮払い制度の創設』についてみたいと
思います。
1.『相続の効力等に関する見直し』
例えば不動産オーナー様が公正証書遺言などで何人かいる相続人の内、特定の相続人に全ての不動産を
1人の相続人に全て相続させる旨の遺言を書いた場合、従来の相続法においては、法定相続分を超える
部分も一人の相続人が相続した場合、例え登記の変更による権利の移転をしなくても、第三者に私が
所有者だと主張できましたが、改正後は登記簿に登記をしなければ法定相続分を超える部分については、
私が所有者だと主張できなくなりました。
また、上段のすべての不動産を相続した場合にこの不動産に例えばアパートローンが付いていた場合、
全ての不動産は、一人の相続人が相続したのだから、この相続人がアパートローンも全て承継するのが
当然だと思いますが、そうではなく、このようなアパートローン(債務)は相続人全員が承継し、
アパートローン額を法定相続分で割った金額を相続人がそれぞれ負うことになります。
この債務を一人の相続人に承継させるためには、金融機関の同意を得なければできないことが今回の
改正相続法で条文化されました。この改正は、現行法では判例を基に同様の考えでありましたが、法律で
正式に定められました。
②『預貯金の仮払い制度の創設』
従来の考え方では、預貯金などは法定相続人であれば法定相続分までは引き出すことが可能でした。
金融機関によっては遺産分割協議が終わっていないと引き出しに応じないケースもありましたが、
法律上は当然分割債権でしたので可能でした。しかし平成28年12月の最高裁の判例で遺産分割が
完了していなければ、たとえ相続人でも引き出すことはできないとした最高裁の判例が出ました。
この結果、改正相続法においても遺産分割が必要な財産となりました。しかし遺産分割協議が終了
するまで預金が引き出せないことになると例えば今まで入院していた入院費用が払えなくなったり、
葬儀費用が払えなかったり支障が生じる結果になるので、この不都合を解消するために仮払い制度が
創設されました。子の仮払い制度の方法は2つで一つは、預貯金の3分の1の法定相続分を金融機関の
窓口で受け取る方法です。各相続人は、遺産に属する預貯金債権の内、相続開始時の預貯金額の
3分の1に各相続人の法定相続分を乗じた額(但し上限150万円まで)については、単独でその権利を
行使できることになりました。具体的な計算は以下になります。
相続開始時の預貯金額1200万円 相続人2人と仮定します。法定相続分2分の1と仮定
計算式(預貯金額×3分の1)×法定相続分 例(1200万円×3分の1)×2分の1=200万円
上限150万円の規定があるので本件では、200万円ではなく150万円が一人の相続人が金融機関から
単独で引き出しが可能な額となります。つまり相続人が2人であれば合計300万円までが可能になります。
今回は、大田区不動産オーナー会の第18回勉強会でも民法改正についてのテーマで開催をするのでようとく通信で
記事にしてみました。
このように相続に関する情報を併せて発信をしていいきますので、相続対策で何かありましたらお気軽に
お問い合わせください。