さて今回のようとく通信では、相続があった際に相続税を計算する時の基になる不動産の相続税評価と実際の売買などの取引価格の違いについてまとめてみました。
不動産の価格は、一物四価(五価)などと言われて一つの不動産に対し四つの価格があるという意味です。どういうこと??となると思います。下の図をご覧ください。
価格表記 | 価格の目的 | 不動産の種類 | |
土地 | 建物 | ||
時価(取引価格) | 市場での流通 | 〇 | 〇 |
公示価格 | 取引の指標とする。 | 〇 | × |
相続税路線価 | 相続税算出の根拠 | 〇 | × |
固定資産税路線価 | 固定資産税額根拠 | 〇 | × |
(固定資産税評価) | 同上 | 〇 | 〇 |
非常に不動産の価格は分かり難いし、なぜこんなに種類があるのかも理解ができないところもあると思います。
今回は、1番目の取引価格と3番目の相続税路線価について解説をさせて頂きます。時価(取引価格)は、実際に取引の相手方がいて初めて決まる価格なので事前に決まっているものでもありません。だから、売り出している価格で必ず決まるものでもなく、当然、相手方からネゴシエーションがあれば応じるか否かで価格が決まるので、売出価格から成約価格は変化することが往々にしてあります。ですから、相場というのも一定割合の目安として捉えて置く程度になることになります。
しかし、相続税を計算する際には、その不動産の評価額は、売れてみないと分からない、または相場で決めるという事では、統一性がなく、課税の公平性という観点から見ても不合理であると言えます。
そこで、公平にそして過度に課税をしない目的で相続税路線価という指標を毎年7月1日に国税庁から発表をしています。全てではないですが、首都圏などでは、主要道路に価格をつけて、その価格のついた路線に存在する土地は、その価格で相続税を計算する時の基に成る価格にして良いとなっています。
路線価図にあるように道路ごとに千円単位の表記で価格が付いていて300Dと記載があると1㎡あたり300千円(30万円)という事になります。この価格は大雑把にいうと一般的に時価の8割という事が言われています。
つまり、そうすることによって税金を国民から取り過ぎず、且つ公平に課税ができるという事になります。
因みにDとかCとか数字の後についているアルファベットは、借地権の割合を表示しています。土地が借地や貸地である場合は、表記の割合を基に更にそれぞれ価格を出していきますがさらに複雑になっていきます。
借地や貸地(底地)の評価の場合は、とても難しく、時価、いわゆる売却価格を決める場合も取引の相手方が誰になるか、つまり借地人なのか地主なのか第三者なのかによって価格が変わります。誰がどれくらいその不動産を欲しいのかによることになります。
次回は、具体的な相続税の計算方法について解説をしたいと思います。