皆さんこんにちは!
陽徳不動産の田邊です。
いよいよ今年は2020年オリンピック・パラリンピックイヤーが到来しました。街中の様子や経済状況の転換も予想される中、期待と不安が入り乱れる年になりそうですね。
さて、今回の『ようとく通信』では、不動産価値という事に触れて見たいと思います。
最近はオリンピックの影響で不動産価格も上昇をしているとよく聞きますが、価値と価格は少し違います。例えば土地の価格はある人がどれだけその土地を欲しがっているかによって価格は変わります。つまり今は、オリンピックなどの効果で経済状況が好転するだろうからその土地が欲しいという需要が高まれば当然、価格は上がります。
一方価値はその人にとってどれだけその土地が必要かによって価値が決まります。例えば分かり易い例でいうと相場価格100万円の土地がありました。しかしその土地には接道が無く建築が出来ない土地でした。としたら、その土地は相場価格が100万円だったとしても建築が出来ないのであれば、価値がないという判断になると思います。
これは分かり易い例になりますが、代々の不動産オーナー様だと所有の不動産の価値を知らずの内に無視して相続対策のためにという事でアパート建築をするケースが良くあります。これは、建築メーカーからほとんど説明されません。というより、建築メーカーの営業も知らないのかもしれません。
例えば、以下の事例で考えてみます。
評価額5,000万円の土地に建築メーカーから建築費用5,000万円のアパートを提案されたとします。建築費用は全額借入です。ではこれを第三者に売却する場合は、1億円で売却できるのでしょうか?トータル価格は、確かに1億円です。では価値という視点で考えてみると土地は鑑定評価額5,000万円で建物は、ハウスメーカーの提示した建築コストです。
では、市場での価値とは、アパートであれば購入価格に対してどれだけの収益を生む不動産であるかという事です。
この事例のアパートの年間収入賃料は経費などを除くと400万円だとします。(経費を20%と仮定します。)ハウスメーカーの提案は、5000万円の建築費に対して400万の収入なので利回りは8%(400万円÷5,000万円×100)ですと提案します。
しかし、元々土地は所有していたので土地の5,000万円は出資した感覚がありません。8%の利回りならば悪くないな、建築費も借入で実行するのであれば、借金は相続税対策にもなると考えがちです。
もう一度、よく考えてみてください、土地5000万円も土地オーナーは出資しているのです。
経費控除後の年間賃料が400万円であるならば、購入側(買主)が幾らなら買うかというのが本来の不動産価値です。例えば買主が1億円を投資(購入額)するのだから6%くらいの利回りが欲しいと思えば経費控除後の収入賃料は600万円(1億円×6%)ないといけません。
この事例の場合で6%の利回りを期待している投資家には約6,600万円(400万円÷6%)でしか売却が出来ません。その差額3,400万円(1億円―6,600万円)です。買手側の立場に立って考えるのが本来の不動産価値です。つまり、幾ら投資したら幾らの収益を生む不動産であるかという考え方こそが不動産を所有する優位性です。
本来相続対策は資産価値を落とさずに相続評価を下げる対策をしなければ意味がありません。本事例のように第三者に売却をした場合に本来の資産価値より低くなってしまうような対策はせずに別の方法を検討するべきという判断になります。
例えば、資産の組替えや別の用途の建物を建築するなどの検討を必要とします。偏りのある対策ではなく、全体的に資産全体を俯瞰することが必要です。