ここ数年来、将来の老後資金の資産形成の一つとして実物不動産への不動産投資を検討される方も多くなりました。
先ずは手始めにワンルームマンション投資からチャレンジすることになると思いますが、その売り物件情報に利回り○○%と表記されているのを目にします。
さて、この利回りは何に対する指標でしょうか?と考えると一般的には購入価格(投資額)に対するリターン額、つまり収入年間賃料だという事なのでしょう。
例えば、利回り6%の1000万円のワンルームマンション売り情報としてあると単年度で考えると自己資金1000万円で購入し年間60万円の賃料収入があり、1年後に1000万円で売却が出来れば年間6%の利息を受け取ったことと同じ意味合いになります。
この例で言えば全額現金で購入した場合の利回りです。不動産投資をする場合の多くは金融機関から融資を利用することになります。融資を受けた場合ではこの利回りの考え方は全く変わってきます。どんな投資でも共通ですが、自己投資した金額に対するリターンが重要な利回り指標だとすれば、銀行融資と自己資金を合わせて不動産投資を行った場合でも自己資金割合に対する利回りが重要な指標になります。
ですから、売買価格1000万円のワンルームマンションを800万円は銀行融資で200万円を自己資金とした場合、200万円に対する正味年間収入(賃料から返済額及び経費を差し引いた年間収入)の利回りが重要な指標になります。
上記、例のワンルームマンソンであれば800万円の融資を金利2%、返済期間20年で調達したとしたら、年間の返済額は約49万円になりますから、年間60万円の賃料収入から差し引くと手取り11万円になります。対して自己資金は200万円ですから自己資金利回りは5.5%(11万円÷200万円)になり、全額現金で購入した場合より、利回りは低下してしまいます。
自己資金利回りを6%にするためには、自己資金を物件価格の50%まで引き上げなければなりません。500万円を銀行融資で金利2%、返済期間20年で調達するとしたら年間返済額は約30万円で賃料収入が60万円ですから手取り収入は30万円になります。
これに対し自己資金は500万円なので自己資金利回りは30万円÷500万円×100=6%になり50%まで自己資金を入れないと6%の利回りは確保が出来ません。
不動産投資は金融機関から資金調達をしてレバレッジを利かして投資効率を良くするという事を言いますがこれではレバレッジが利いていません。レバレッジを利かせるためには表面利回りが銀行貸出利回りよりも高くなければレバレッジは有効に利きません。
銀行貸出利回りとは、融資残高に対する年間返済額の割合です。上記例で確認すると融資額800万円、金利2%、返済期間20年の場合は、年間返済額は約49万円です。
49万円に対して融資残高は初年度800万円なので銀行貸出利回りは約6.1%(49万円÷800万円×100)になるため、表面利回りの6%よりも高いため、レバレッジが利かない逆ザヤになるためこの場合は、調達先を他銀行に変えるなりして金利もしくは期間の見直しをする必要があります。
不動産投資を始めて行う場合は、表面利回りの指標は参考程度に考えて全体的な資金計画を立てたうえで検討することが必要です。