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こんにちは

陽徳不動産の田邊です。

昨日に続いて配偶者居住権について節税効果があるとよく聞きます。確かに配偶者居住権を設定して

1次相続では配偶者居住権と敷地利用権及び建物所有権と敷地所有権には相続税の課税対象に

なりますが、2次相続では配偶者居住権と敷地利用権は消滅するので課税対象にはなりません。

故に配偶者居住権は節税になりますという仕組みです。昨日のブログでも書きましたが節税目的

だけで配偶者居住権を設定すると思わぬ弊害も生じることもあります。

例えば相続人が配偶者と子供1人(長男)の場合、長男が2次相続で自宅を相続する場合、

2次相続の時に小規模宅地の特例が活用できないのであれば1次相続の際に配偶者居住権を設定

することで節税効果は期待できるかもしれません。

しかし長男も2次相続で自宅を相続する際に小規模宅地の特例が活用できる状況であれば

配偶者居住権を設定する必要もなく節税目的で配偶者居住権を設定しようと考えている場合は

配偶者居住権を設定しないほうが良いかもしれません。

小規模宅地の特例とは、https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4124.htm

例えば、相続財産で土地1億円(200㎡) 建物1000万円 現預金1億円(全て相続評価額)の場合

土地の敷地利用権7000万円 敷地所有権3000万円 建物居住権600万円 建物所有権400万円

とした場合、1次相続では配偶者には小規模宅地の特例を活用し配偶者の相続割合を50%と仮定します。

配偶者は現預金の5700万円と敷地利用権は1400万円(80%減額 7000万円×(1-0.8))

と建物配偶者居住権600万円、長男は現預金4300万円と敷地所有権3000万円と建物所有権400万円

とした場合の1次相続の相続税の総額は980万円です。2次相続の時に配偶者の財産に変化がないとしたら

2次相続の相続税の総額は265万円で1次相続と2次相続の総額は1245万円です。

一方、同内容財産で2次相続時に長男が自宅を相続する際に小規模宅地の特例が活用できるとしたら、

1次相続で配偶者居住権は設定せずに配偶者は現預金3500万円、自宅土地2000万円

(80%減額 1億円×(1-0.8))建物1000万円長男は現預金6500万円を1次相続で相続した

場合の相続税の総額は680万円です。2次相続の時に配偶者の財産に変化がないとしたら2次相続の相続税の

総額は385万円で1次相続と2次相続の総額は1065万円です。

上記は一例ですが、配偶者居住権は設定しないほうが1次相続と2次相続の総額は低くなりました。

必ずしもこのようなケースのようにはならないかもしれませんがよく検討をした上で活用をするか決めたほうが

良さそうですね。