こんにちは
陽徳不動産の田邊です。
今回は相続対策として賃貸アパートを建築して相続税を下げましょうという対策を
取るケースが良くあります。相続税は一見、下がったかのように見えます。
しかしアパート建築後の全体の資産価値として建築前より上がっているのか下がって
いるのか検証することはほとんどされないケースが多いです。
例えば以下のケースで考えてみましょう。
現状資産
土地 資産価値 1億円(時価です。今売ったら1億円) 負債 0 円
純資産額
1億円(資産1億ー負債0)
相続人 3人(配偶者 子供2人)
基礎控除 4800万円
課税対象遺産額
10000円ー4800万円=5200万円
相続税額
318万円
この土地に以下の建物(アパート)を建築
建築コスト 1億円
アパートからの年間収入(経費控除後)600万円
銀行借入 1億円
この地域のキャップレート 4.5%(この地域の期待利回りです。)
相続評価額での資産状況
資産の部(相続評価)
土地 8000万円(1億×0.8)相続評価は概ね時価額の8割
8000万×82%=6560万円(アパートを建築することで貸家建付け地評価)
建物 5000万円(建築費の概ね50%が固定資産税評価)
5000万円×70%=3500万円(貸家は70%評価)
資産合計 10060万円
負債の部
銀行借入 10000万円
純資産 60万円(10060万円ー10000万円)
課税対象額
0円(60万ー4800万円 基礎控除)マイナスのため0となる
確かに借入をしたことにより相続税は掛かりません。
多くの場合はここで評価を終えてしまい相続税は掛かりません。では建築しましょう!
という事になってしまいます。
この後に本来は資産状況の再確認が必要です。
建築後の時価での資産状況
資産の部
土地建物の合計時価 13333万円(アパートの収入600万÷4.5%キャップレート)
負債の部
銀行借入 10000万円
純資産 3333万円(13333万円-10000万円)
冒頭の現状資産状況で記載しましたように純資産は1億円ありましたが建築後は
3333万円に減っています。これでは相続対策にも相続税対策にもなっていません。
建築後の資産状況がどのように変化するのか確認しながら相続対策はする必要が
あります。
また、アパートを建築する場合は将来的に入居者確保は困らないかなどマーケティングも
必要になります。
人口が減っていく中ではワンルームマンションを建てれば入居者が入るという時代は
もう終わっているかもしれません。